『ちはやふる』語り

「ちがうんだ ちがうんだ

 負けたのは おれが弱いからなんだ

 弱いってことを 認められない

 自分だからなんだ」

 

「真島先輩… 先輩は

 自分になりたくてがんばってるんです……!」

 

「自分じゃなくなりたい

 でも、自分になりたい」

 

ヒョロ/『ちはやふる』第一〇八首

 

 

菫ちゃんの、「自分になりたくてがんばってるんです」は

太一がたどり着けなくてたどり着けなくてもがいていた答えだと思った。

太一の、かるたをやる理由って、千早だ。千早だった。

そして自分が思うよりも、新の「卑怯なやつやの」が太一をしばっている。

そうだ、太一は、自信がないんだ。努力の人。

テスト勉強だってかるただって、裏で努力を続けた人。決してそれを表に出さない人。

自分になにかが足りないと思っている。

それを探すために、かるたを続けている。

かるたはしんどい。続けることはしんどい。なにもないと思うことはしんどい。

しんどくてもしんどくても、続ける理由。

「逃げない奴になりたい」。

自分じゃない人になりたい。

でもなれないから。

胸を張れる自分になりたい。自分でいたい。

 

ヒョロくんも、同じだ。

弱い自分でいたくない。

けれども自分を奮い立たせて、かるたを続ける。

自信満々のふりして。虚勢を張って。

けれども奥底で、自分を知っている。認めたい。

だから、後々、後輩のために動くことができたんだよね。

優勝に導くことができたんだよね。

 

 

太一とヒョロ君の想いが入り混じるお話。