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マダム・プティ語り

漫画語り

マダム・プティ/8話

 

俊の形見である指輪を、盗られてしまうマリコ。
盗まれ、売られ、ついに指輪は若手画家の手に。
その若手画家に提示された交渉金額は、「20万F」。

夫との死別。
その死に隠された真実。
旅先でのスリ。
そして形見の喪失。
巨額の提示額、20万F。
パリにきてから散々だ。
熱で倒れる直前にマリコが零したのは、「パリなんてキライ」。

 

その後マリコは、ジャンヌに導かれてパリを巡る。
外で食事、立って食事など言語道断、のマリコが、
しぶしぶ、どきどきとクロワッサンをかじった直後の絵がたまらない。

はっと顔を上げて、何かが晴れたように、前を見る。
出る直前まで不機嫌だったにもかかわらず、
この瞳の輝きはどういうことなのだろう。

 

 

様々な出来事が大人にしてきた、16歳の少女。
毅然としていて、強かで、揺るがない。
けれども、時折見せるその純真な笑顔が周りを惹きつけていく。
その笑顔こそが、16才という年相応の飾り気のない美しいもの。

弱さは出さず、弱さを強さに変えて、突き進む。
見ていて、背筋がしゃんとする、物事への姿勢。
真っ直ぐなゆえに、目が離せなくて、愛らしい。


前日まで肩肘を張っていたマリコが、パリの美しさに、
強さをぼろぼろと崩していく表情の変化。
目に映るものすべてが新しい。光り輝く。
感動というものは、人の心を動かして、溶かしてやまないものだと思う。

その証拠に、マリコが前日まで「20万F」の稼ぎ方を一人で考えようとしていたのに対し、
この日の夜には「20万Fの具体案は?」と、自らがきりだしている。
形見の指輪を失った元凶でもあるジャンヌに、だ。
これまでも、元凶の女性相手にどうしてそこまで、という場面が見られたけれど、
ジャンヌに対してのわだかまりが溶けきっていることがこの一言で感じられた。

 


かたくなでいすぎて、いいことはない。
日々楽しく、面白く。
新たな発見に、心を開いて動かして。
マリコの魅力の一つは、そこにあるとわかる一コマでした。