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『女王の花』語り

亜姫は旦と。薄星は光と。
2人はそれぞれに対峙する。

薄星はようやく割れた片方の玉璽を手に入れ、亜姫の元、曾国へ出発する。
その道中での、光の傍につく女忍、白との対話。
玉座に近い位置の者に仕える胡人という、酷似した立場の二人。
自分よりも、主との距離の近い薄星に嫉妬を隠せない白だった。

 

「王子にな。問うてみたんだ。“私か国か選べ”とな。
 当然、王子は国を選んだよ。
 だが、答えるのに少しだが躊躇したんだ。
 ほんの一瞬だったけど。
 その間は私だけのものだ。
 王子が私のことだけを考えた。
 その一瞬を、永遠に胸にしまい、私は生きていける。
 この先、別れの時が来ても…」

 

女王の花/二十九話より

 

 

「自分か仕事かを選んで?」
そう聞いて、どう答えるだろう。
自身が満足する答えを得られないことも多いだろう。
そしてその中で、恐らく多くの人がその結果に着目するだろう。

けれども。
けれども、その時の相手の非言語の部分を見つめる人が、どれだけいるのだろう。
選ばれなかったことを嘆くのではなく、
その瞬間の相手の全てを受け止め受け入れる。

人には、選ばなければならない道があると思う。
誰に何を言われようとも、進む道が。
それに対して、理解と、愛を向ける。
本当に、心が震えるシーン。

少し前に、薄星に苛立ちを向けていたシーンを知っていると、
さらにたまらない。