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『フルーツバスケット』語り

漫画語り

バイト先で出会ったクレノを、無意識に待ち続けるうおちゃん。
そんな自身の揺れ動きがつらく、バイトをすべて変えてしまう。
うおちゃんの言うクレノが草摩の紅野であることに望みをかけ、
透は一人草摩家の本家へ向かう。
真正面からの訪問をためらう透を誘ったのは、紅葉の妹、モモ。
兄であると知らないはずの紅葉を兄と求めるモモの言葉は、
透の、紅葉の心を揺らす。

 

「会いたいのに。
 会いたい人はこの世にいるのに。
 どうして?会えないまま想いは募って。
 叶ってほしいと心から願う。
 無責任だと言われても。どうしても」

 

フルーツバスケット/74話より

 

妻とモモを想う紅葉の父。
家族を思う紅葉。
紅葉を想うモモ。
それぞれの想いが、それぞれに飛び、交錯する。
交わっても、一つになることはない。
誰かを想う気持ちは同じなのに、どうしてこうも、人の願いは美しいのに儚いのか。
嘆いても、ひとつにはならない。
それでも叫ばずには、願わずにはいられない。

これを、透が想うのだからさらに切ない。
父親にも母親にも会えない。
そんな透だからこその祈り。

 

一人だったら、交わることのない想いに押しつぶされてしまっていたかもしれない。
自分の代わりに泣いてくれている人がいる。
自分のことを願ってくれる人がいる。
その、温かさたるや。