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『星は歌う』語り

漫画語り

サクと千広が別れを告げた翌日、卒業式。
2人は言葉を交わすことなく、それぞれの道をゆく。
最後まで笑顔でいるという決意を貫いたサクの胸には、
星たちの言葉が、響く。


「サクヤ、嫌な話してやろうか。
 おまえ、今が人生で一番最高につらくてかなしいって思ってんなら、
 それ、気のせいだから。

 そんなもん これからも山のように起きっから。
 ようやっとぞっとするほど長い人生の始まりなんだし。
 だから、“つらい”とかそんなモンこれで終わりじゃない。
 “かなしい”とか“しんどい”とか
 誰かに傷つけられるのも、誰かを傷つけるのも、
 誰かを好きになるのもこれで終わりじゃない
 “嬉しい”とか たとえば“倖せ”とかも。

 いいか。世の中なんて笑ってるやつの勝ちだ。
 たとえ道中クソみたいな道のりでも
 最後に笑ってられたなら勝ちだ」
※一部略

 

星は歌う/第62話より

 

心が通い合っていることを確かめながらも千広と別れを告げ、
ひとり泣き崩れたサクに、奏がかけた言葉。


星は歌う』は、前作の『フルーツバスケット』に比べ、
フィクション性がなくなったために、
個々のキャラクターの葛藤にリアリティが増しました。
そのため、かなりしんどいお話で、
私自身もいろんな意味で読んでいるのがつらかった。

それでも、最終回を目の前にしてのこの奏での言葉で、
今までの話が全て救われました。

実際には、泣き崩れた女性にこんな言葉をかける男性はいないし、
いたとしたら一発殴られて終わると思う。

けれども、何度も何度も苦しみを味わったサクにとって、
そして星という存在に気付いたサクにとって、
この言葉は何よりも救いの言葉になったと思う。

道のりは、どこまでも続く。
最後に笑うの最後とはいつなのか。
不明瞭だからこそ、希望の見える言葉。
どうしてだろう、つらくて苦しいことがあったとしても、
その先には笑顔が、幸せがあるのだという言葉に聞こえてならない。

笑ってくれ。

素直な気持ちが素直な言葉にならない奏での、
全てが裏返しにされた優しい愛の言葉。